レーザーによる遠隔放射能検出のしくみ

昨日紹介したニュースの元の論文は下記ですが、購読していないと読むことができません。
https://journals.aps.org/prapplied/pdf/10.1103/PhysRevApplied.23.034004
空気中のO2に放射能由来の電子がくっついてO2-(陰イオン)となり、それがCO2レーザーの強い電場で電子を放出し、その電子が加速されて中性分子に衝突することにより周りをイオン化して雪崩的にmicroplasmaを作り、光を散乱するという仕組みです。9.2μmのCO2レーザーの光では光子のエネルギーが低いため、N2,O2,H2Oなど空気中の通常の分子から電子をはぎ取ることができず、放射能由来のものだけを特異的に検出できるとのことです。
レーザーがどんな大きさか気になりました。下記に詳細が載っていますが、持ち運びできるようなものではありません。
https://opg.optica.org/osac/fulltext.cfm?uri=osac-3-3-459&id=427803
放電で動作するレーザー加工機などに使われる通常のCO2レーザーは波長10.6μmまたは9.6μmですが、これは短いパルスにはなりません。種になる別の波長(~1000nm)の短パルスレーザーの光を使ってCO2を励起してパルスにするのですが、波長9.2μmというのはパルスが短くなるようにCO2分子の励起状態の性質から導かれたものようです。最高出力は2ps, 尖頭値パワーは5TWだそうです。これを100倍のパルス幅にして使っているようです。すなわち尖頭値パワーは50GWとなります。
microplasmaの大きさは平均7μm、温度は20万℃となり、イオン化した分子と電子が多数存在するため空気に比べて屈折率が大きくなり同じレーザー光を散乱するそうです。ただし、論文にも書いてありますが塵や湯気がある条件下ではそれらの方が光を強く散乱するため測定は難しくなるはずで、原子力事故のような場合には使いにくいかもしれません。

英語は単語を適当に拾います。
intersect 交差する
counterfeit 「カ」ウンターフィット 偽造 = fake フェイク
transverse ト「ラ」ンスヴァース 横の、横断した
lateral 「ら」テラる 横方向の
longitudinal ろンジ「チュ」ーディナる 縦の、経度の、延長された時間の; longitudinal data analysis 時系列データ解析
avalanche plasma 雪崩プラズマ
propagate プロ「パ」ゲイト 伝搬する
a regenerative amplifier 再生増幅器 =リジェンと略します。

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